2011年5月29日日曜日

第3回ワークショップ(2/2)



午後は要素の整理と発表/講評を行いました。
付箋同士似た要素の検討を行い、関係性や共通する部分を話し合います。
この段階では各グループまとめるのに相当苦戦した様子でしたが、最終的には問題点をベースとした関係性や複数の問題に対して共通する解決方法が見えてきたように思います。


発表では、問題点の関係性を中心にグループ相互に講評を行いました。
また、アドバイザーの土谷さん(無印良品くらしの良品研究所)からもご意見をいただきました。

「価値の転換」がキーワードとしてあがり、ハード/ソフト両面からの様々なアプローチを共有しました。
そして、時間の流れやシェアによるコミュニティとしての提案、不動産カードによって数値にできない価値を可視化する方法、玄関や天井など外との中間領域における空間的提案など、複数の問題点に対して共通する提案のポイントを定めていきました。
同時に、問題の程度や法規等で現実的に可能な部分とそうでない部分を明らかにすることも大切な検討事項の1つとしてあがりました。


木賃アパートにおける問題点の要因は物理的なものから管理面や時代特性などのソフトによるものまで様々です。
また、木賃アパート独自の価値も様々なかたちで存在していることが見えてきました。
独自の価値を継承しながら不適合性をいかに取り除けるか、そうした再生提案を目指し、次回以降のワークショップも検討に検討を重ねていきたいと思います。

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公式ウェブに掲載する個人写真の撮影も行いました。
天気もよく、グループワークの息抜きになったようです。
ウェブページも公開でき次第、twitterでお知らせさせていただきます。
いよいよ、実際のアウトプットへとプロジェクトが動き出しました。


文責:根岸 岳
(写真撮影:石川 智香子)

第3回ワークショップ(1/2)


5/21(土)に第3回ワークショップを行いました。
第一回と第二回では、フィールドワークを中心としたリサーチを行い、木賃アパートやその再生事例を知ることを主眼としてきました。
それらを生かし、今回からは提案に繋がる作業となります。再生レシピづくりへ向かっていきます。

今回は1日かけてエイブル本社でブレインストーミングを行いました。木賃の問題点を整理する作業です。その上で提案において重要になるポイントを明確にしていきました。

KJ法を用いて、大きな模造紙に付箋を貼りながら議論を行いました。
また、これまでのロールごとの区別ではなく、今回はロールを混ぜてグループ編成を行いました。それぞれ異なる視点から意見が得られ、アウトプットにも多様な考えが盛り込まれました。


午前中は、とにかく沢山の意見を出し合うことに集中しました。
木賃に住むとして「住みたい理由」「住みたくない要因」「その上で考えないとならない部分」をメンバーと共有しながら出し合い、木賃にまつわる要素を洗い出していきました。
議論を進める中で付箋の種類が増え、「こんな家に住みたい」という意見も出てきました。
これまでのリサーチを元にしたものやロールならではの視点、自分の経験談まで様々な意見が飛び交いました。

お昼休憩をはさみ、午後の作業に続きます。(2/2へ)


文責:根岸 岳
(写真撮影:石川 智香子)

2011年5月25日水曜日

第2回ワークショップ(2/2)


午後はエイブル本社でのまとめ作業です。

ショクニンは前回同様収集した写真をグループごとに分類して、ひとつひとつ検証していきました。分類した物は言葉で具体的に表現しました。たとえば「天井を抜いて空間を広くする」「屋根を解体した時に出た廃材を使って縁側を作る」「押し入れ部分だった所にシャワールームを納める」など、木造リノベーションならではの再生手法をたくさん発見することができました。このような事例の収集は今後も継続して、木賃再生のデータベースとして活用する予定です。

キカクヤはインタビュー/リサーチを基に生活の行為、生活道具など、思いつくかぎりポストイットに書き込んで、それらを分類しました。この作業で暮らしの中でのやりたい事/やらなければいけない事や、必要な物/あると便利な物など、いままで曖昧であった暮らしの物事がはっきりと言葉で見えるようになりました。

ブンセキカは実際にプロの視点から物件を見る事によって、勉強になることも多かったと思います。外観のヒビの入り方から建物の傾きを判断したり、天井裏や床下をのぞいての構造診断など、実践的な物件調査をしました。(診断の結果、該当物件は再生が難しいと判断されてしまいましたが・・・)今回学んだ事がこれからの物件選定に大いに活かされる事を期待しています。

最後に全員でレビューをして今回は終了です。前回同様、今回の成果もまとめて後日にお見せできるかと思います。
今回は実際の再生物件をみたりインタビューしたりと、より今後のビジョンやモチベーションにつながるワークショップになったのではないでしょうか。またウェブサイトも近々リリースできる予定です
木造賃貸アパート再生ワークショップ、もっともっと加速していきます!

文責:川瀬英嗣(ショクニン)
(写真:石川智香子)


2011年5月22日日曜日

第2回ワークショップ(1/2)

5月14日(土)に第2回ワークショップを行いました。
当日は晴天に恵まれました。

午前中は、ブルースタジオが再生した木賃アパート、下北沢pinosをメンバー全員で見学させて頂きました。その後、キカクヤは**荘に住むおじいちゃん、Mさんにヒアリング。ブンセキカは、とある物件の建物診断に行きました。午後は前回同様、各ロールに分かれてフィールドワークの成果をまとめる作業を行いました。

下北沢pinosでは実際に住まわれている方にお話を聞かせていただきました。シェアハウスでの暮らし方や、住んでみて変わったことなど、色々なお話が聞け、実際にお部屋も見せて頂けました。
実はシェアハウスは決まりごとが色々あって少し息苦しいものだと思っていたのですが(学生寮のような・・・)お話を聞いてみるとそんな雰囲気はなく、皆さんとてものびのびと楽しそうにされているのが印象的でした。何名かの方の部屋も覗かせて頂いたのですが、皆思い思いに個性的なインテリアで工夫して住まわれていました。

その後、
ショクニンは、赤坂のエイブル本社に戻って早速作業開始。
キカクヤは、**荘に住むMさんに会いに。木賃生活の長いMさんから木賃生活のノウハウをききました。
ブンセキカは、大島さんと構造家の長坂健太郎さんと共に、とある物件の建物診断にいきました。

各ロールごとフィールドワークが終わったらエイブル本社にもどって編集/まとめ作業です。
2/2に続きます。

文責:川瀬英嗣(ショクニン)
(写真:連勇太朗)
写真は、Mさんが制作した、お茶やポットをコンパクトに収納し移動させることができる木賃必須家具。

2011年5月20日金曜日

大森ロッヂ見学

5月11日、13日の2日間、大森ロッヂを見学させていただきました。
大森ロッヂは築40年の長屋をリノベーションした物件です。品川駅から京急線で15分程揺られると最寄りの大森町駅に到着し、駅から少し歩いた路地に佇んでいました。設計者で住人でもあるアトリエイーゼロサンの天野さんに案内して頂きました。

入り口の門をくぐるとまず真っ赤なポストがあって、とてもかわいらしかったです。基本的に外観は黒で統一されていて、シンプルにまとまって見えました。
印象としては、価値を感じるようなモノ・コトは極力残しつつ、うまくバランスをとりながら全体を包括しているようでした。例えば大森ロッヂの外構は大和塀と言う塀で囲ってあって、境界線と目隠しになっています。入り口の門には扉がないのですが、路地には砂利が敷き詰めてあり、それが防犯の役割を果たしています。また各戸の共用部と庭のゆるやかな境界線にもなっています。オートロック・2重ドア・監視カメラなどといったいわゆる現代的装置ではなく、仕組みやコミュニティの力で解決しています。ほかにも物置を改造した東屋や、あえて手を加えていない空き地など、一方的に計画・デザインしすぎずに住人が主体的に暮らして関わっていくことでカタチづくられるコミュニティを感じました。夏祭りや餅つき大会をやったりと、楽しいイベントがいつも盛りだくさんだそうです。

そのあとは天野さんが住まわれている2階建ての棟の方へ。ここはアトリエスペース+中庭+長屋といった町家のような奥に長いつくりになっています。天野さんはここをSOHO(住居兼オフィス)として住まわれています。意外だったのはアトリエ付きの物件なのでアーティストやデザイナーなど創作活動をしている人が住むかと思っていたら、そうではなく一般の職業の方が多かったとお聞きしました。またアトリエ部分は基本的に改造OKで、住んだ人が思い思いに自分のカタチにあわせて暮らしています。今後、入居者が入れ替わったりした時にそれらがどう引き継がれていくのかが楽しみです。

ということでたっぷりと見学させて頂きました。
今回実際のリノベーション事例をお話を伺いながら見学させていただいたことで、形だけでなく考え方や住人としての意見など、大変多くの事を参考にさせて頂きました。

さて次回は、第2回ワークショップの様子をアップします!

文責:川瀬英嗣
(写真:連勇太朗)

2011年5月8日日曜日

第1回ワークショップ(2/2)


下北沢でのフィールドワーク終了後、午後から赤坂のエイブル本社に戻ってきました。

これから集めたデータの編集作業に入ります。

ショクニンは、木賃を構成する部位(階段、ドア、照明など)をたくさん撮影したので、撮った写真を全てプリントアウトし、その部位の大きさに着目して分類していきます。
ここで、ショクニンのメンバー4人が、記録/撮影を各個人で行いましたが、4人が共通して撮影したものもあれば、1人だけしか撮影していないものもありました。
例えば、裸電球の写真がたくさん撮られているけど、シンクの写真は殆ど撮られていなかったりと。多く撮られている部分ほど、木賃の要素として重要だと考えることもできます。

キカクヤは下北沢周辺の不動産カードを約50件分、分析しました。
ベランダの有無、和室、洋室、風呂有無などどういうオプションがあるのか、一間なのか二間なのかそれ以上なのか、間取りと設備と家賃との関係性など。
最終的なアウトプットは、間取りの構成を三つに分類分けし、風呂/トイレ/ベランダなどのオプションが家賃との関係でどのように付属しているのかを、仮説を立てました。

ブンセキカは調査した20件分の木賃アパートのアイソメを描き、入り口へのアプローチや周辺環境との関係性から木賃の構成要素を分析していきました。すると、木賃と周辺環境の関係、木賃の建物の構えにのいくつかパターンが見えてきました。

ある程度、各ロールのアウトプットがまとまってきたところで、軽くレビューをしました。各班軽く調査内容とアウトプットを説明し、今後どのようにまとめていくのかを議論しました。

一日という短い時間でしたが、多くの発見があり充実した内容となりました。次のワークショップまでの間に各ロール、フォーマットを整えてキレイにアウトプットとしてまとめる予定なのでこれからの活動にご期待ください。よろしくお願いします!

文責:石橋一希
(写真:石川智香子)



2011年5月3日火曜日

第1回ワークショップ(1/2)


4月30日に第一回目のワークショップを行いました。
このワークショップは本プロジェクトにおいて一番重要なイベントで、隔週で行っていきます。

この日は午前中に下北沢でフィールドワークを行い、午後は赤坂のエイブル本社でフィールドワークのまとめ作業を行いました。

今回のフィールドワークでは3つのロールに分かれて、それぞれ異なった視点から木賃を考察していき、木賃の特徴を捉えていく事が目的です。

まず、ショクニンとキカクヤは3件の木賃アパートを見学し、ブンセキカは途中で分かれて他の木賃を見に行きました。

ショクニンは木賃アパートらしいと思うモノを写真に納めていきました。裸電球、昔ながらの襖、玄関のダクト、ポスト、吹き付けの壁、階段、窓ガラス、などです。

キカクヤは午前中は3件の不動産カードと実際の物件を見比べながら見学していきました。

ブンセキヤはショクニン/キカクヤと分かれてさらに下北沢界隈にある木造賃貸アパートを探しに行って20-30件ほど見に行きました。そこでは木賃と周辺環境の関係、木賃の建物の構えがどのようになっているかに着目して観察しました。具体的には、外階段、外廊下が主道に対して表面/裏面にある、庭と木賃との関係、周りの建物のボリューム、駐車場の位置、などです。

私はブンセキカに所属しておりますので、補足すると、歩いていて思ったのは、しばらく木賃がないエリアが続いて、その後一つ木賃を見つけたりすると区画整理がされずに主道から離れた木賃等が一カ所に集まって存在している事が分かりました。木賃の近くに木賃はあるのです。

各ロール、「質より量」を合い言葉にフィールドワークをしました。
各自記録を出来る限りたくさん撮りました。

午後はエイブルで作業しました。2/2へ続く。


文責:石橋一希
(写真:石川智香子)